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氷河地形(U字谷・モレーン・氷河湖・カール・ホルン)

      2018/03/27

前回の授業ではサンゴ礁地形について学習しました。

今回は氷河地形です。

そもそも「氷河」とは何か?と言われたときに答えられそうですか?

あるいは「万年雪」って聞いたことありますか?

万年雪とは文字通り,夏になっても冬に積もった雪が解けずに1年中雪として存在しているものをいいます。

富士山の山頂は春を迎えても白く冠雪していますよね。

夏になると雪は融けたように見えますが,山頂の火口内には万年雪が存在しています。

これが万年雪。

じゃあ氷河は?と言われると年間を通じて融けないのは同様なのですが,簡単にいうと,「雪」と「氷」の違い,さらに重力によって流動しているもの,という説明ができるようです。

chiriは文系なので理系っぽい話は苦手なのですが,雪と氷は密度が違うようです。

言われてみれば,氷のほうが密度が大きい(詰まってる)感じはしますよね。

さらに,「重力によって流動」とは何か,というと,地球上で完全に真っ平,というところはそうそうないわけで,その上に氷河がのっかっているとすると,その氷河も必ず重力の影響を受けて標高の低いほうへ引っ張られるわけです。

そうすると,目の前に見える大きな氷の塊(氷河)も実はゆっくりと動いている,というのが事実なわけです。

(ここまでは受験に無関係です笑 でも,氷河とは?というそもそもの構造や定義を理解しておくことは教科書の内容を理解する上で非常に大切だと思います。高校生の間はこれはこうだ,と教えられることに何の疑問も抱きませんが,何の学問を学ぶにしても,言葉の定義をきちんと押さえてから内容に入る,というのは大学に入るとつくづく実感するものです。)

 

さて本題です。

まず,氷河には大陸氷河山岳氷河という2つの種類が存在します。

大陸氷河とは大陸の広い面積を覆う氷河のことを指し,大陸氷床とも呼ばれます。

大陸氷河は現在世界で南極大陸グリーンランドしか存在しません。

これは大切ですので覚えましょう。

(余談ですが,南極大陸の生活の様子がよくわかるのでオススメの映画です。)

南極料理人 [ 堺雅人 ]

北極は大陸がないので大陸氷河とは呼びません。

さすがに大丈夫ですよね。

気候の単元で学習しますが,大陸氷河は気候区分の氷雪気候(EF)とも完全に一致することとセットで覚えるとわかりやすいと思います。

もちろん,氷河期の時代には北アメリカ大陸やヨーロッパの高緯度地方にも大陸氷河は存在していました。

この最終氷期の氷河の最大範囲は地誌の学習でも非常に大切です。

以下の2枚の地図を見てください。

氷河期におけるヨーロッパの氷河最大範囲

氷河期におけるヨーロッパの氷河最大範囲

 

氷河期における北米大陸の氷河最大範囲

氷河期における北米大陸の氷河最大範囲

 

この2枚の地図は頭の中で白地図に氷河のラインを描けるようにしておく必要があります。

ヨーロッパの氷床で大切なポイントはアイスランド,北欧,イギリスがすっぽりと氷河におおわれていること。

そして下限はフランスは氷食を受けておらず,ドイツやポーランドは氷河が存在して氷食を受けている地域が存在すること。

ピレネー山脈・アルプス山脈・カフカス山脈といった新期造山帯で標高の高い山の上にも氷河が存在していたこと,の3点です。

これらはいずれも農業の単元でヨーロッパの混合農業や酪農を学習するときに非常に重要になってきますので,少し心に留めておきましょう。

 

アメリカの氷床の覚え方はさらに簡単です。

基本的には現在のアメリカとカナダの国境。+五大湖と覚えましょう。

これよりも南の地域で「かつて氷食を受けていた」というような問題の選択肢は誤りですので,正しく選べるようにしておきましょう。

以上が大陸氷河の注意点。

 

さて,もう一つの山岳氷河は読んで字の通り,標高の高い山の上に存在する氷河です。

ヒマラヤ山脈とかアルプス山脈の上に存在しています。

ちなみに日本には「氷河地形」はあっても「氷河」はない,とされていて,chiriもこのように教えていましたが,2012年に日本氷雪学会が剣岳と立山に氷河を認定したため,現在は日本にも「氷河」はある,ということになっています。

ちなみに2009年には剣岳登頂と測量の実話を基にした映画がありましたね。

劔岳 点の記: メモリアル・エディション 【DVD】

フィヨルドを学習したときにも少し触れましたが,氷河は雪が降り積もって自重によって氷となり,流動していくものなので,山岳氷河は谷に発達します。

要するに降った雪が谷に集まってきて氷河となるということです。

このとき,雪ではなく,降水であれば,サーーッと水が谷に流れて川を作っていくのでV字谷が形成されます

しかし,氷河はさきほども述べたようにゆっくりと流動しているため,(山岳氷河は一般的に1日当たり数~数十cmというスピードで流動しており,肉眼ではなかなか認識できないくらいのスピードで氷河は流動している,という認識で。)一見すると氷が谷を埋めているだけのように見えます。

すると氷が谷と接する面積も時間も水に比べて長くなるため,谷はU字になるのです。

例えば,砂場で山を2つ作り,作った山と山の間(谷)に200mlの水を流すと一番低いところに水が集まり,谷をさらに深く下へと削ってV字谷が形成されます。

これと対照的に同じ砂山で作った谷に200mlのスライム(容積は水と同じでドロドロのやつ)を置くと,ドローッと流れながら砂はU字にえぐられていくのです。

こんなしょうもない仮想実験で理解できましたでしょうか…?(汗)

 

ともあれ,こうして山岳氷河は氷河の下の地面を削るのでこれを氷食と呼びます。

そして氷食によって作られる地形がいくつかあり,その名称を知っておかねばならないので,以下で確認しましょう。

氷河が標高の高い山の谷に現存している様子はこんな感じです。

氷河地形

氷河地形

 

この写真に地形の位置を書き加えると…

モレーン・U字谷・氷河湖

モレーン・U字谷・氷河湖

 

こうなります。

Aは氷河の末端を示しています。

ここに堆積している砂や礫,岩の塊などをモレーンといいます。

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イメージはみなさんがグラウンド(校庭)でかかとを地面に立てて(つま先を上げて)足をガガガっと前に動かすと,かかとの周りには土が削れてたまりますよね。

これがモレーンです。

さらにAの上側にあるBがいわゆるU字谷です。

U字谷はフィヨルドの元になるんでしたね。

最後のCは氷河湖

湖にも断層湖やカルデラ湖など,いろいろなでき方があります。

氷河が削った窪地(くぼち)に水がたまったり,先ほどのモレーンが上流から少しずつ融けて流れてくる水をせき止めて湖を形成するパターンなどがあります。

地球温暖化が進む現在,世界各地では氷河が後退しているため,この写真で言えば,Cの氷河湖はかつてCの部分まで氷河が存在し,このときに作られた窪地に水がたまっているか,かつての氷河の末端で生み出されたモレーンが現在水をせき止めて湖になっているかどちらかだといえます。

ちなみに世界一有名な氷河湖といえばどこだかわかりますか。

そうです,アメリカの五大湖

あんなに大きな湖も氷食によって作られたんですね。

このほかにもカナダやフィンランドにはたくさんの小さな氷河湖があることが地図帳を見るとわかります。

ぜひ確認しておいてください。

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新詳高等地図 [ 帝国書院編集部 ]

カルデラ湖は火山の火口に水が溜まっているから丸い,断層湖は地殻変動で地面が裂けたところに水が溜まっているから細長い,潟湖(ラグーン)は砂州によって海と切り離されたから必ず海に面している,など湖の作られ方は地図帳を見るとその形からほとんどの場合判断できます。

氷河湖の場合は氷河に広く覆われていたので周辺にたくさん湖がみられるのが特徴です。

それぞれの湖の形成メカニズムはほとんど授業を終えたので,しっかり判別できるようになってくださいね。

 

ちなみに別の地域ですが写真をもう一枚。

U字谷

U字谷

 

この写真は過去に存在した氷河がなくなった後ですが,きれいなU字谷が見えますね。

さらに言えば緑(木々)が生えている境目もきれいに直線で見えています。

これはまた植生や農業の単元で学習しますが,高度限界といって,植物が生育できる環境は気温などに大きく左右されるため,特定の標高を境に,植物が生えなくなっていることもわかります。

さて,最後にもう一枚。

どんな地形かわかるかな?

どんな地形かわかるかな?

 

カール,ホルン

カール,ホルン

 

Dの部分はカール(圏谷)とよばれます。

氷河の流れ初めで半円形の窪地になっているのが特徴です。

そのとなりのEがホルンもしくはホーン(尖峰)です。

氷河と氷河によって両サイドを削られると,削られずに残った部分は尖(とが)った峰(みね)になります。

スイスにあるマッターホルンという有名な山を聞いたことないですか?

スイスにあるマッターホルン

スイスにあるマッターホルン

 

これです。

このマッターホルンは典型的なホルン(尖峰)として有名です。

 

さて,地形の説明はこれだけです。

いずれもこれらの地形はみなさんが学校で使っている地理の資料集にモデル図が載っていると思います。

今回,chiriの作画スキルが足りないため,写真を用いましたが,資料集もよく確認しておいてくださいね。

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先ほども述べたように,日本にも飛騨山脈などにカールが存在してます。

カールは地形図の読図としてもセンター試験や模試でよく出題されるので,判別できるようになっておくことが大切です。

地形図は基本的に急斜面になっているところほど等高線の間隔が狭くなり,地形図全体としては黒っぽく見えます

しかし,そんな急斜面が続く峰々の間にあるカールはやや平らな場所といえます。

先ほどの写真で言えば,EのホルンよりDのカールのほうがやや緩やかですよね。

だから地形図で見るとカールが存在する部分のほうが白っぽく見えるのです。

ぜひ,問題演習で出題された場合には,覚えておきましょう。

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さて,今日のポイントです。

 

  氷河が作る谷→U字谷

  氷河の末端→モレーン

  氷食による窪地orモレーンでせき止め→氷河湖

  山頂付近の半円形→カール

  氷食で取り残された峰→ホルン

 

次回は乾燥地形(ワジ,外来河川,塩湖など)について学習します。

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