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現役高校教師がどんな参考書よりもわかりやすく,センター試験で高得点を目標に,地理の授業を解説します。

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気候の3要素-気温

      2018/04/01

前回は日本の地形を学習し,これですべて地形の学習が終了しました。

今回から気候の単元に入ります。

ちなみに気候は地形とならび,高校の地理を学習する上で非常に大切な単元の1つです。

chiri個人としては地形と気候がわからないと以降の単元も理解が進まず,今後の学習に非常に苦労するため,重要度としては地形と気候の学習が地理の学習の60~70%くらいを占めている,と思っています。

それくらい大切な内容なんだ,という想いで臨んでもらえればうれしいです。

 

さて,話は変わりますが,みなさん,

「気候予報士」っていると思いますか?

「気象予報士」ではありません。

「気候」です。

答えはNO.

気象予報士はいる(お天気キャスターのお姉さんとは違いますよ)けど,気候予報士はいない。

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ここから考えてほしいのは

気候と気象の違いは何か?気候とは何か?

ということについてです。

おそらく,気象とは?と聞かれると多くの人が「天気」と答えるでしょう。

基本的にはそれで間違ってはいません。

気象とは大気の状態のことを指し,特定の時点の気象を天気と呼ぶからです。

それでは気候とは何か,気候とは1年を周期として毎年繰り返される大気の総合的な(平均的な)状態を指します。

つまり,わかりやすくとらえるならば毎日の天気の積み重ねがそれぞれの地域の気候になるわけです。

毎年繰り返される,という部分がポイントで,例えば日本であれば瀬戸内海側は1年を通じて雨が少ない,とか日本海側は冬に降水量(雪)が多いとか,太平洋側は夏に雨が多い,とかです。

毎年繰り返されるわけなので,今更当然ですが,「気候予報士」は必要ないですよね。

ということでこれからはそれぞれの地域で存在する特徴的な気候について学習していきます。

じゃあ,気候ってどうやってできるの?決まるの?という話になりますが,気候を決めるのは「気候要素」という言葉があります。

気候要素の具体例としては気温,降水,風,日照時間,雲量,日射量,気圧,風速などなどです。

特に気温,降水,風の3つについては気候を特徴づける上で非常に影響が大きいため,特に「気候の3要素」として教科書でも中心的に学習します。

 

また,ややこしいですが,気候要素を決定づけるものとして「気候因子」という言葉が存在します。

気候因子の具体例としては緯度,海抜高度,海陸分布,隔海度,海流,地形などです。

要するに気温が高くなったり低くなったりする原因は緯度が高い,低いとか,海抜高度が高い,低いとかになるでしょ,ってことです。

この「気候要素」と「気候因子」という言葉は2年生の最初の記述式模擬試験などで非常によく出題され,書かされる内容です。

気温,降水,風などが入っていたら「気候要素」,それらを決定する原因となるものが「気候因子」として混乱しないように整理しておきましょう。

そこで,このページでもまずは気温について,気候因子との関連も踏まえながら詳しく学習していきます。

 

まず,「日較差」と「年較差」についてです。

1日の最高気温と最低気温の差を「日較差(にちかくさorにっこうさ)」と呼び,1年間の最暖月(文字通り1年で1番平均気温が暖かい月。日本ならだいたいどこでも7月か8月)と最寒月(1年で1番平均気温が寒い月。当然日本なら12月~2月のどれか)の平均気温の差を「年較差(ねんかくさorねんこうさ)」と呼びます。

もしある場所のある日の最低気温が5℃,最高気温が20℃だったらその日の日較差は15℃となります。

じゃあ年較差の読み取りは試しに体験してみましょう。

次の雨温図は秋田県秋田市(標高6.3m)のものです。

雨温図秋田市

雨温図秋田市

 

秋田市の年較差は何℃ですか?

小学生でもわかるような気もしますが,最暖月は8月の25℃,最寒月は1月の0度なので,年較差は25℃ですね。

年較差はこんな感じで読み取ります。

ちなみに地理Bのセンター試験や模擬試験では日較差より圧倒的に年較差のほうが重要な要素として出題にかかわってきますので,そのつもりでいてください。

年較差はどんなところで大きくなったり,小さくなったりするのかが重要です。

年較差は主に3つの要因で大小が左右されます。

  まず一つ目は緯度。

気候因子にも入っていましたね。

例えば次の雨温図は,赤道直下のシンガポールのものです。

雨温図シンガポール

雨温図シンガポール

 

気温のグラフはほぼ一直線ですね。

ということは最暖月と最寒月の差もほとんどないわけで,年較差は小さくなります。

一方,シンガポールより高緯度にある秋田では年較差が25℃もありました。

つまり,雨温図のグラフで見るならば,気温のグラフの形が直線的な方が年較差が小さく,グラフの山の形が大きくなればなるほど年較差は大きくなるわけです。

ちょっと丁寧に説明しすぎてますかね?

わかる人は当たり前じゃん,でよいです。

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  2つ目は隔海度。

これはどれくらい海から離れているか,すなわち内陸にあるか,という指標です。

これはあまりイメージがないかもしれませんが,内陸ほど地面は温まりやすく,冷めやすい,海(あるいは海に近いところ)ほど温まりにくく,冷めにくい,という比熱の違いによる性質があることが関係しています。

つまり,沿岸部の地域よりも内陸のほうが夏は暑く,冬は寒いのです。

次の雨温図は岩手県盛岡市(標高155.2m)のものです。

雨温図盛岡市

雨温図盛岡市

 

緯度はほぼ同じでも気温は夏も冬も岩手のほうが2℃近く低いことがわかります。

これが比熱の違いです。

比熱の違いの理由を理解してもらうためにchiriがいつも話をするたとえがあります。

気温が40℃まで上がった真夏にアスファルトの上を裸足で歩きなさい,と言われたらどうですか?車のボンネットに手を置きなさい,と言われたらどうですか?

いじめだよね笑

ただし,気温が40℃の日にみんなで海水浴に行って海に入ったら,海水も40℃で,「熱っ!風呂やん!!」ってなりますか?

当たり前だけどならないよね。

今度は逆に冬の最低気温が‐5℃の日に前日雪の降った地面はどうなっているでしょう?

当然ガチガチに凍っていますね。

それでは‐5℃の日に琵琶湖はガチガチ凍っていますか?

さすがに凍らないよね。

このように,もちろん,材質にもよりますが,基本的に固体のほうが温まりやすく,冷めやすいのです。

液体である海水は温まりにくく,冷めにくいのです。(もちろん,塩分を多く含んでいることも関係あるけど。)

そのため,沿岸部では陸地といえども海洋の温まりにくく冷めにくい特徴の影響を受けやすいので,気温の年較差は小さくなりやすく,一方で内陸部では年較差が大きくなりやすいのです。

この性質を大陸性気候海洋性気候と呼んだりするので中身は理解しておきましょう。

この2つの用語自体はそんなに入試で出題されることはありません。

このような性質はみなさんが住んでいる地域の夏の県内最高気温とか,冬の最低気温などにも顕著に表れます。

海なし県に暮らす高校生のみなさんは少し実感しにくいかもしれませんが,それ以外の県の人はぜひ天気予報も少し気にしてみてください。

 

さて,年較差の差が出る3つ目は

  大陸の西岸か東岸か(特に中高緯度地域)

です。

これはユーラシア大陸の東側に位置する日本は夏暑く,西側に位置するヨーロッパでは比較的夏涼しいというのが典型的です。

中学校の地理でもヨーロッパは偏西風と北大西洋海流という暖流の影響で夏涼しく,冬暖かい,という内容を学習するはずです。

ちなみに,これはなぜだかわかってますか?

偏西風というのは西から東へと風が吹いています。

夏であれば,その下に暖かい海水である北大西洋海流が流れていると,風(空気)が暖められ,暖かい空気がヨーロッパへ流れ込むからです。

冬はこの逆で,温まりやすい大陸(比熱という意味で)で暑くなっているヨーロッパに,温まりにくい,つまり割と冷たい北大西洋の海の上を通った偏西風が吹くことで,涼しい風がヨーロッパに流れ込むからです。

これに対して日本周辺も偏西風は吹いていますが,夏は温まったユーラシア大陸の上を偏西風が,冬は冷めきったユーラシア大陸の上を偏西風が吹いてくるため,どちらの季節もより暑く,あるいはより寒くなるわけです。

しかも実際には日本周辺は偏西風よりも季節風の影響を受けやすいため,夏は太平洋側から暖かい空気が,冬はユーラシア大陸側から冷たい空気が季節風として流れ込みます

そのため雨温図でいえば気温のグラフの一番上と一番下の点がより上下へ動くわけで,年較差が大きくなるのです。

少し回りくどい説明だったかもしれませんが,年較差が左右される3つの要因について理解してもらえましたか?

 

ちなみに気温の最後に確認しておいてほしいのが気温の逓減率についてです。

なんて読むかわかりますか?

「ていげんりつ」です。

余談ですが,郵便局は明治時代に逓信省という組織からスタートしたのが始まりです。

そしてこの「テイシンショウ」のカタカナの「テ」を記号にしたのが〒の由来という説が有力です。

はい,どうでもよい余談はさておき,気温の逓減率とは標高が上がるごとに気温がどんどん下がりますよーという法則です。

標高が100m上がると気温はどれだけ下がると思いますか?

答えはノーマルな状態では0.65℃下がります

湿度などの条件によって気温の変化の幅は変わってきますが,これはまた,フェーン現象の部分で確認します。

当然ながらエベレストの頂上は寒い。

長野県の軽井沢が夏の避暑地として昔から人気なのは標高が高くて涼しいからです。

逓減率は簡単ですね。

これだけ覚えといてください。

 

さて,今日のポイントです。

  気候の3要素…気温・降水・風

 →気候要素の原因となるものが気候因子

  気温に影響する気候因子

→緯度(低緯度ほど高く,高緯度ほど低い)

 →標高(標高が低いほど高く,高いほど低い)=気温の逓減率

  日較差…1日の最高気温と最低気温の差

  年較差…最暖月と最寒月の平均気温の差

 →低緯度か,高緯度か

 →内陸部か沿岸部か

 →大陸の西岸か東岸か

次回は次の気候要素である降水について学習します。

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