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雨季と乾季が生まれるメカニズム

      2020/04/21

さて,これまでの学習で雨温図ハイサーグラフの読図方法について学習しました。

少し復習です。次の雨温図は何気候か判別して答えてみましょう。

この雨温図の気候区分は?

そうです,Cw(温暖冬季少雨気候)!

と答えた,そこのあなた,見事に引っかかっています。不正解。

正解はCs(地中海性気候)ですね。

例年chiriの授業でも引っかかる生徒が5~8割。

模擬試験や大学入学共通テスト本番で引っかからなくて良かったでしょ。

前向きに捉えていきましょう。

判別の過程を図に書き込むと次のようになります。

南半球にある南アフリカの首都ケープタウン

-3℃と18℃に線を引き,2本の間に最寒月があるからC(温帯),乾季は1~2月,12月あたりなので冬に乾季(w)?と思い込みがちですが,気温に注目です。

何となく雨温図の形に違和感を感じませんか?

そうです,気温のグラフが見慣れた日本の雨温図なら山型の折れ線グラフなのに対し,このグラフは7月の気温が最も低い谷型です。

1年のうちで1番7月が寒い,ということは何を意味しますか?

この都市は7月が冬,ということですね。

ということは1~2月,12月は夏であり,乾季は夏なので,気候区分はCs(地中海性気候)になるのです。

熱帯ではAwに対してAsは(基本的に)存在しないし,亜寒帯ではDwに対してDsも存在しません。

温帯はCsもCwも存在し,南半球のCsはCwと間違えやすく,入試でも頻出なので,要注意です。

季節が北半球と南半球で逆,というのは小学生くらいから何となく知っていることかもしれません。

オーストラリアは12月のクリスマスにサンタが浜辺でサーフィンしながらやって来るみたいなニュースを観たことがある人も多いのでは??

ではそもそもなぜ北半球と南半球では季節が逆なのか,考えたことがありますか。

これは実は,なぜ雨季と乾季が生まれるのか,というメカニズムとも大きく関連しています。

次の図を見てください。

太陽と地球の位置関係

これは地球と太陽の位置関係を示したモデル図です。

実際には地球より太陽の方がはるかに大きいですが,今回重要なのは地球での出来事なので太陽を小さく示しています。

さて,右側の7月を見てください。

青い円は地球です。その円の中で縦にまっすぐ引かれている線は太陽に対する公転軸です。地球の地軸は太陽に対して23.4°回転軸が傾いています

おそらく知っている人も多いでしょう。

この23.4という数字は大事です。

23.4°は北回帰線があり,夏至の日には太陽の南中高度が90°になります。

南回帰線の冬至も同様です。

90°-23.4°=66.6°なので,北極圏は66.6°以北を指し,この地域では夏には太陽が沈まない白夜がみられ,冬には太陽が昇らない極夜がみられます。

地球は23.4°太陽に対して傾きながら1日で1周し(自転),自転しながら365日をかけて太陽の周りを1周(公転)しているわけですね。

そのために左側に書いた1月の図は地球の半年後の状態を示します。

地球の地軸の傾きは基本的に一定なので,右の図と同じように赤道と地軸が描けます。

ここまで大丈夫ですか?

さて,ここからが本題です。

7月の状態でいま地球に1番太陽の熱エネルギーが届いているのは地球のどの部分ですか?

図の中で指をさしてみましょう。

そうです,赤道よりちょっと上,北側の部分ですね。

「赤道」とは言うものの,赤道が一番暑い地点ではない,ということです。

ではなぜそこが1番熱が届くのか?と聞かれたら説明できますか?

太陽に1番近いから。

間違ってはいません。

そもそもなぜ赤道付近は暑くて,北極は寒いのか。

それは以下の通りです。

緯度による受熱量の違い

3本の赤い矢印が同じ熱量だとしても,赤道付近と高緯度地方は熱量を受け取る面積(緑の線の部分)に違いが生じます。

簡単に言えば高緯度地方の方が熱量が分散するので,寒いのです。

一方,赤道付近でも最も暖められるのは地軸が傾いているために,赤道付近よりちょっと上(北)になるわけです。

さて,復習です。

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地球で最も暖められている場所では何が起こりますか。

そうです,地表が暖められて上昇気流が発生し,赤道低圧帯ができるんでしたね。

赤道低圧帯の形成位置

もちろん,赤道も含んでいますが,どちらかといえば北半球にひろく赤道低圧帯が形成されます。

それ以外の気圧帯はといえば…

大気大循環の図を風の単元で学習したのを覚えていますか?

7月の気圧帯の分布

こんな感じになります。

それぞれの気圧帯が少し北側に動いていますね。

当然1月は…

1月の気圧帯の分布

こんな感じです。

今度は気圧帯全体が少し南側に動いています。

大して違いが分からないですね。

では並べてみてみましょう。

並べて比べてみると…

並べると少しわかりやすいはず。

7月の図を見てください。

赤道上の地点をアとして北側にイ~オの点を打っています。

いま,7月のア~オ地点は雨季ですか?乾季ですか?

正解は

ア:雨季 イ:雨季 ウ:乾季 エ:乾季 オ:雨季

となります。

降水の単元で学習したように,低気圧に覆われると雨がふり,高気圧に覆われると晴れるんでしたね。

それでは1月の図を見てください。

7月と同じ地点にア~オの点を打っています。

いま1月のア~オ地点は雨季ですか?乾季ですか?

正解は

ア:雨季 イ:乾季 ウ:乾季 エ:雨季 オ:雨季

です。

今回の授業の答えがわかりましたか?

なぜ気候で雨季や乾季が生まれるのか,といえば,

気圧帯が季節によって南北(上下)に全体が移動することによって地域によっては覆われる気圧帯が変わるところがあるから

ですね。

ちなみにア~オ地点の具体的な気候区分はわかりますか?

アは赤道直下で1年中雨季であり,乾季がないからAf(熱帯雨林気候)

イは赤道付近で7月(夏)は雨季,1月(冬)は乾季なのでAw(サバナ気候)

ウは7月(夏)も1月(冬)も乾季,ということは1年中雨が降らないのでBW(砂漠気候)

エは7月(夏)は乾季,1月(冬)は雨季なのでCs(地中海性気候)

オは7月(夏)も1月(冬)も雨季,ということはCfa(温暖湿潤気候)やCfb(西岸海洋性気候)

となります。

イとウの間とウとエの間にはわずかな雨季があるBS(ステップ気候)が広がるわけです。

どうですか?割と感動しませんか?

これは気候のメカニズムを理解する上で非常に非常に重要です。

私が大好きなBBCの「アース」でもナレーションの中で

「隕石の衝突によって生み出された地球の地軸の傾きは奇跡だ」

という表現があるのですが,まさにその通りだと思います。

 

地軸の傾きがあるおかげで雨季と乾季が生まれたり,私たちの暮らす日本では明瞭な四季が生まれたりしているわけで,もし地軸の傾きが0だとすると,地球の気温や植生はほぼ緯度だけで決まってしまっていたということなのです。

「じゃあ風の単元でやった赤道低圧帯が赤道の真上に来ているあの図はウソなのか?」

大気大循環図

と鋭い質問ができるそこのあなた,本当にウソでしょうか。

7月の図では気圧帯全体が北側に動き,半年間かけて1月には気圧帯全体が南側に動く。

そうです,つまり赤道低圧帯が赤道の上に来ているのは春と秋,ピンポイントで言えば春分の日と秋分の日というわけです。

納得?

夏至とか春分の日という日の地理的な意味は結構奥深いのだと感じてもらえたでしょうか。

何より大切なのは雨季と乾季が生まれるメカニズムです。

だからこそ,AsやDsといった気候区分は存在しないことも理解できるはず。

日本で生まれ育つと中々感じにくい雨季と乾季,という概念ですが,こんなにも大きなスケールの中で地域を特徴づけるものなのですね。

では次回から,具体的な気候区分を見ていくため,熱帯気候の特徴を学習します。

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