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乾燥帯気候の特徴(砂漠気候,ステップ気候)

      2020/05/08

さて,前回は熱帯気候の特徴について学習しました。

今回は続いて乾燥帯気候です。

乾燥帯には2つの気候区分が存在します。

気候記号と日本語名ですぐに答えられますか?

 

そうです,砂漠気候(BW)ステップ気候(BS)でしたね。

熱帯と同様に,次の白地図を砂漠気候(BW)は黄色,ステップ気候(BS)はおうど色に色分けしてみましょう。

白地図

白地図

 

さて,色塗りをして乾燥帯気候の分布に特徴や傾向性はありますか?

 

 

 

砂漠気候(BW)の周りにステップ気候(BS)が分布している。

南北回帰線(北緯・南緯23.4°)付近に多く分布している。

南北回帰線の近くじゃないところもある

 

この3つが重要です。

 

それではまず初めに,乾燥地形の単元で学習した内容の復習です。

砂漠には大きく分けて3つの種類がありました。

何だったか覚えていますか?

砂砂漠

 

礫砂漠

 

岩石砂漠

 

順番に砂砂漠礫砂漠岩石砂漠でしたね。

今回はこの違いについて考えてみましょう。

このことが乾燥帯気候の特徴の理解につながります。

 

さて,基本的に岩石が砂になっていく,というイメージはありますか。

おそらくあるはず。

その作用は何と呼ぶか知っていますか?

 

 

そうです,風化作用といいます。

一般的に砂漠では風化作用が他の地域よりも大きく働くとされています。

 

じゃあ「風化」って何ですか?と聞くと答えられますか?

 

「ボロボロになっていく感じ」

そうですね。どうやって?

「風の力で?」

じゃあ岩石の前に扇風機を「強」にして1日中風を当てたら,岩石は粉々になりますか?

「…」

 

となってしまうのではないでしょうか。

普段耳にする言葉でも1から考えてみると案外わからないことって結構ありますよね。

 

風化作用には物理的(機械的)風化作用化学的風化作用の2つが存在します。

今回説明するのは物理的風化作用です。

化学的風化作用はいろいろありますが,例えばカルスト地形で石灰岩が水に溶けていく(溶食)のが具体例です。

 

さて,物理的風化作用はというと,この中にもいくつか種類がありますが,今回の乾燥帯気候で顕著なのは気温の変化による崩壊です。

どういうことかというと,ちょっと理型っぽい話になりますが,物質は温度が上がると膨張し,温度が下がると収縮します。

例えばJRとか鉄道のレールは所々切れ目があるのは聞いたことがありますか?

これは夏に気温が高くなって鉄のレールが膨張し,切れ目がないとレールが曲がって列車の脱線事故が起こってしまうのを防ぐためだそうです。

 

実は岩石の中でも同じことが起こっていて,岩石の中には様々な鉱物が存在し,それぞれの膨張や収縮は鉱物の種類や方向によって違うため,暑い,寒い,暑い,寒い…を繰り返すと岩石の中に小さな割れ目が生まれ,次第に岩石が崩れていくのです。

 

先ほど,砂漠では一般的に風化作用が大きい,と書きました。

砂漠は暑い,うん。寒い?

寒いのです。

乾燥帯の気候の特徴として日較差の大きさが挙げられます。

日較差って何だったか覚えてますか?

気候の3要素-気温の単元で学習しましたね。

1日の最低気温と最高気温の差のことです。

 

つまり砂漠は日中に50℃近くまで気温が上がる地域でも太陽が沈んで夜には氷点下にまで気温が下がる地域が結構あります。

砂漠って暑いイメージですが,基本的に暑いのは昼なのです。

 

これだけ日較差が大きければ毎日毎日岩石の鉱物が膨張・収縮を繰り返して風化作用が大きくなるのも納得ですね。

 

さて,次に砂漠の成因について学習します。

成因とはでき方のことであり,砂漠には成因が大きく分けて4つあります。

砂漠の簡単な定義として,総降水量<総蒸発量なわけで,気候の3要素-降水の単元では雨の降り方を4種類学習しましたが,その逆に,雨が少なくなるパターンが4つある,と認識してください。

 

その1「亜熱帯砂漠」

記事の最初で確認した分布の特徴で,「南北回帰線(北緯・南緯23.4°)付近に多く分布している。」がありました。

これが理由です。

気候の3要素-風の単元で学習したように,大気大循環図で考えると,南北回帰線付近は亜熱帯高圧帯という高気圧の帯が1年中発達しています。

気圧帯の位置は季節で変動することを雨季と乾季が生まれるメカニズムの単元で学習しましたが,気圧帯が南北に動いても,常に1年中亜熱帯高圧帯に覆われている地域で主に発達する砂漠のでき方ということです。

断面図のモデル図にすると,こんな感じ。

亜熱帯砂漠の形成過程

亜熱帯砂漠の形成過程

 

具体例が大切です。

地図帳を見て,世界のどのあたりにある砂漠がこの亜熱帯砂漠に分類されるかわかりますか?

 

 

 

そうですね,有名なのは

アフリカ大陸北部のサハラ砂漠,南部のカラハリ砂漠,アラビア半島,オーストラリアの中央部などです。

すべて回帰線上に位置しているのがわかるはず。

やはり地理は法則性の学問ですね。

 

その2「内陸砂漠」

次の図を見てください。

内陸砂漠

内陸砂漠

 

海からどれくらい離れているかを表す用語を気候の3要素-気温の単元で学習しました。

覚えていますか?

 

 

そうです,隔海度

隔海度が大きすぎると海から離れすぎていて供給される水蒸気が少なくなるため乾燥して砂漠が形成されるのがこの内陸砂漠です。

この内陸砂漠の具体例はどこでしょう?

 

ヒントは

南北回帰線の近くじゃないところもある。」やつです。

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そうです,中国のゴビ砂漠とタクラマカン砂漠が有名です。

北回帰線よりもより高緯度側に砂漠が位置していますね。

これは先ほど学習した亜熱帯砂漠とはでき方が違うからです。

内陸砂漠は基本的にこの2つしか出てこないので,この2つを覚えておきましょう。

 

その3「海岸砂漠」

最初に言っておきますが,4つの成因の中でどれが1番重要か(出題頻度が高いか)と言われればこの海岸砂漠です。

海岸砂漠は文字通り海岸付近に形成される砂漠で具体例はチリのアタカマ砂漠や,ナミビアのナミブ砂漠などが有名です。

次の図を見てください。

海岸砂漠

海岸砂漠

 

海岸砂漠でポイントは付近に寒流が流れていること

寒流,暖流については海流の単元で学習しましたね。

寒流付近の海岸では冷たい海水の上を吹く風によって海岸付近の空気が冷まされ,冷たいものは下へもぐるので,地表付近に冷たい空気の層が出来上がります。

その逆に大気の上層は暖かい空気の層が生まれます。

お風呂に入ろうと思って浸かったら,浴槽の下の方はもうお湯がぬるかった,とか,夏の教室でクーラーの冷房が効きすぎて足元ばっかり冷える,とか経験ありますね。

これらと同じ現象です。

 

この現象を気温の逆転現象と呼びます。

なぜ「逆転」かわかりますか?

 

あなたが半袖Tシャツ1枚でエベレストに登ってくださいって言われたらどうですか?

寒くて無理ですね。(その他にも一般人には無理なことがいっぱいあるけど笑)

 

標高が高くなるほど気温はふつう低くなります。

これを何と呼ぶんでしたか?

 

 

 

気候の3要素-気温の最後で学習しました。

気温の逓減率と呼びます。

標高が100m上がると気温は?

 

 

 

そうです,一般的には0.65℃下がります。

 

これが普通の状態なのに,寒流が流れる海岸付近は地表付近の方が気温が低いため,地表は暖められず,上昇気流も発生しにくくなります

冷たい空気が下に来ると大気は安定し,空気の層が入れ替わることもありません

そのため,降水量が極端に少なくなり,気温が低いまま海岸砂漠が形成されるのです。

 

具体例はすでに述べたようにチリのアタカマ砂漠やナミビアのナミブ砂漠ですが,海岸砂漠はその形成過程からもわかるように,沿岸が冷たくなる寒流の存在が大きいため,海流の名前もセットで覚えておきましょう

アタカマ砂漠を作るのはペルー海流ナミブ砂漠を作るのはベンゲラ海流です。

海流の流れる向きも地図帳で確認しておいてくださいね。

 

その4「雨陰砂漠」

最後の砂漠のでき方です。

読めますか?

あまかげ」もしくは「ういん」と読みます。

次の図を見てください。

雨陰砂漠

雨陰砂漠

 

山に湿った風がぶつかって雨が降る降り方を何と呼ぶんだったか覚えていますか?

気候の3要素-降水で学習しましたね。

地形性降雨といいます。

この地形性降雨の延長にある砂漠のでき方が雨陰砂漠です。

地形性降雨のうち,山にぶつかる湿った風が偏西風などの恒常風だった場合,1年中同じ向きに山に風がぶつかり続けるため,山の風上側では常に雨が降りますね。

フィヨルドが大陸西岸で発達した理由もこれだと沈水海岸の単元で学習しました。

 

そして水分を落とした風は風下側で常に下降気流となって吹き降ろすことになります。

1年中下降気流が発達すれば上昇気流は生まれず,雨が降らないため,砂漠になるのです。

具体例はチリとアルゼンチンの南部にまたがるパタゴニアです。

 

アウトドア用品メーカーの名前でも有名ですね。

パタゴニアの冬本当に暖かいけど,お値段もそれなりにね…(笑)

パタゴニアは南緯40度付近以南の総称であるため,西側はアンデス山脈で標高が高く,氷河が発達しており,東側では乾燥地域がみられます。

パタゴニアって寒いの?砂漠なの?と混乱しがちな人も多いのですが,雨陰砂漠のでき方を理解すれば,氷河のすぐ隣に砂漠が生まれている理由にも納得ですね。

 

砂漠のでき方4つ,しっかり理解してもらえましたか?

そのほか砂漠気候で出てくる内容といえば,土壌は成帯土壌でアルカリ性の砂漠土が分布し,ワジカナートと呼ばれる用語が出てくるくらいです。

ワジやカナートは乾燥地形で学習しましたね。

 

最後にステップ気候(BS)について簡単に触れておきます。

雨季と乾季のメカニズムの単元でも学習したように,ステップ気候(BS)は砂漠気候(BW)とサバナ気候(Aw)の間に位置することが多いんでしたね。

つまりステップ気候(BS)の特徴は長い乾季と短い雨季です。

サバナ気候(Aw)よりも雨季が短いため,短草草原が植生の特徴です。

成帯土壌は栗色土から黒色土と呼ばれる土が分布します。

これらの名前はそんなに重要ではありませんが,黒色土には各地域で呼び方に違いがあります

北アメリカだとプレーリー土(プレーリードッグで有名ですね。)と呼ばれます。プレーリー自体は中学校で学習するかもですが,何のことかわからずに名前だけ覚えていた人も多いはずです。

プレーリーとは北アメリカの大平原のことであり,そこに広がっているのはプレーリー土と呼ばれる黒色土です。

 

もう一つ有名なのは世界一肥沃な土壌と呼ばれるチェルノーゼムです。

ウクライナから西シベリアにかけて分布しています。

地図帳で位置を確認しましょう。

西シベリアというのはウラル山脈の東側の地域です。

余談ですが,ナチスのヒトラーはウクライナからドイツまでこのチェルノーゼムを運ばせる計画さえ立てていました。

実際には実行されませんでしたが,農業に良い土が欲しいから他国から運ばせるという,なかなか普通では考えもしないような計画が生まれるほど,豊かな土壌であるということの現れですね。

なぜチェルノーゼムがそこまで肥沃な土壌なのかわかりますか?

 

ステップ気候(BS)の短い雨季で生えた草が長い乾季で枯れ,厚い腐食層を生み出すからです。

雨季と乾季があるからこそ,土が豊かになる,というのも面白いですね。

 

以上で乾燥帯気候の大まかな特徴は終了です。

乾燥帯気候のポイントは

・砂漠は日較差が大きい

・砂漠のでき方は亜熱帯砂漠,内陸砂漠,海岸砂漠,雨陰砂漠の4種類に分類される

・海岸砂漠はペルー海流のアタカマ砂漠とベンゲラ海流のナミブ砂漠が有名

・ステップ気候(BS)の成帯土壌は黒色土(北アメリカのプレーリーとウクライナ~西シベリアのチェルノーゼム)

次回は温帯気候の特徴を学習します。

 

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