高校地理をわかりやすく,そして楽しく!

現役高校教師がどんな参考書よりもわかりやすく,センター試験で高得点を目標に,地理の授業を解説します。

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侵食平野-準平原(残丘),構造平野(ケスタ,メサ,ビュート)

   

「助けてください!!」

みなさんはこの名シーンを知っていますか?

 

そう,セカチューです。

えっ,セカチューも知らない?

日々,高校生たちとのジェネレーションギャップを感じる場面が多くなっているchiriです…

2004年に映画化され大ヒットし,その後テレビドラマ化された「世界の中心で、愛を叫ぶ」です。

関連映画『世界の中心で、愛を叫ぶ』

映画版は高校時代役を森山未來と長澤まさみ,主題歌は平井堅の「瞳をとじて」,テレビドラマ版は山田孝之と綾瀬はるかが演じ,主題歌は柴咲コウの「かたち あるもの」です。

ある地方都市の中学校でたまたま同じクラスになった朔太郎とアキは高校生になり,恋に落ちていくものの,アキは白血病を発症し,次第に弱っていきます。

修学旅行先のオーストラリアに行けなかったアキは,サクとともに台風が近づく夜にウルルへと向かいます。

しかし,台風で飛行機は欠航し,アキの容態も急変してウルルに行くことはかなわず…(後略)

といった青春恋愛ストーリーです。

当時はセカチューという言葉やウルルという言葉が大流行するという社会現象が起きたものです。

セカチューの話ばかりが長くなりましたが,今日話したいのはこのウルル。

エアーズロックとも呼ばれ,テレビなどで目にしたことがある人も多いはずです。

このウルルは世界最大級の一枚岩で直径約4km,比高335m,周囲約9.4kmととてつもない大きさで,言われても想像しにくいですね。

ウルルは準平原≒楯状地に属し,残丘(モナドノック)という地形に分類されます。

残丘とは硬い砂岩でできているウルルが周りの地層よりも硬かったために,周りの地層が先に侵食され,地面の上に頭を出したように取り残されてできた地形をいいます。

模試やセンター試験対策でいえば,

  残丘(モナドノック)⇒ ウルル(エアーズロック)

という具体例と形成過程がざっくりと頭の中に入っていれば問題ありません。

 

このように,今回の授業ではもともと存在する地層などが長い年月の中で侵食を受けて形成された地形(=侵食平野)について学習します。

そもそも,準平原という言葉は,アメリカの地理学者デーヴィスが示した理論の中で登場してきたものです。

以下に示した5枚の図は地形の時間経過に伴う変化を表したものです。

時代の古い順から新しい順へと並び替えるとどの順番になるか,わかりますか?

スタートはAからです。

B~Eを正しい順番に並べ替えてみましょう。

 

原地形

A

 

壮年期地形

B

 

準平原

C

 

幼年期地形

D

 

老年期地形

E

 

 答えはA→D→B→E→Cです。

 

 

原地形

A

幼年期地形

D

壮年期地形

B

老年期地形

E

老年期地形

C

ポイントは図の中に描かれている赤線です。

これは侵食基準面といい,これ以上侵食されないラインのことをいいます。

つまり,基本的には海面と同じ高さです。

この侵食基準面より上の厚みがどんどん侵食されて薄くなっているのがわかりますね。

風雨による侵食によって地形は刻々と変化していきます。

最初のAは原地形と呼ばれます。

海岸の河口付近に土砂が堆積し,海底が平らになっているところが隆起して生まれるなどして作られます。

自然発生的に生まれた川はどんどん下方侵食(下へ下へと地面を削る)を繰り返し,やがていくつもの谷を刻みます(D)。

幼年期地形 V字谷

幼年期地形 V字谷

  この谷はV字谷と呼ばれます。

谷にはV字とU字の2種類が存在します。

U字谷はのちほど氷食地形で学習しますが,世の中の谷はほとんどがV字谷です。

試験ではVとUをはっきりと書き分けるように注意しましょう。

このDの状態を幼年期と呼びます。

地形としては子どものようにまだ若い地形という意味です。

具体例としてはアメリカ西海岸のグランドキャニオンが有名です。

コロラド川が作り出した世界自然遺産であり,テレビなどで目にしたことがある人も多いと思いますが,あの雄大な自然景観もまだまだ若造なんですね。

 

さて,次がBの壮年期です。

壮年とは聞きなれないかもしれませんが,一般的には青年期(15~30歳)以降の31~44歳を指し,一言でいうと働き盛りという意味です。

地形としても最も起伏が激しいのがこの時期です。

アルプス山脈,ヒマラヤ山脈,日本アルプスなどが壮年期地形に含まれるとされます。

 

その次がEの老年期です。

壮年期を迎えた地形はある一定のところで下方侵食が止まり,今度は最もとがっているところが削れてその土砂が谷を埋め,地形として平坦になっていこうとします。

イメージは鉛筆を削るのと同じだと思ってください。

  鉛筆をどんどん削っていくと尖っていきますが,先が尖りすぎると指先で軽くふれるだけでも鉛筆の先が折れてしまいますよね。

それと同じ状態が山地の頂上付近から起きていくということです。

準平原における残丘(モナドノック)

準平原における残丘(モナドノック)

そして最後がCの準平原

老年期からさらに平坦化が進むと,文字通り,限りなく平らな地形となり,最も初期の原地形に似た地形を示します。

平らな平原ではあるけれど,それは一通り,壮年期や老年期の時期を経験した上だから「準」平原。

準平原の中にポコッと残っている高まりは残丘(モナドノック)です。

これがウルルにあたることは先に述べました。

 

また,この準平原が再び隆起するようなことがあれば,侵食基準面が相対的に下がる(侵食基準面はそのままにその土地が高くなるということ)ので,侵食が再び始まります。

すると準平原は幼年期へと姿を変え…というように,地形は幼年期→壮年期→老年期→準平原とういサイクルを繰り返しているという理論が,デーヴィスの侵食輪廻です。

さて,少し余談ですが近年の研究ではこのデーヴィスの侵食輪廻に対して批判も多く挙げられています。

  この理論のどこに矛盾点があるかわかりますか?

答えはこの理論で地球上にあるすべての地形をいずれかに分類して説明できるかと言われるとなかなか難しいということです。

デーヴィスの理論は主に外的営力による作用に力点が置かれています。

ちょうど地形変化が1周した準平原になると内的営力によってポコッと隆起するというものですが,実際の地球上ではそんなにタイミングよく隆起が起こるわけはないですよね。

地球上の地形には内的営力と外的営力が絶えず同時に働いて複雑な地形を生み出しているわけで,こんなに綺麗に輪廻を繰り返しているような地形はそんなにたくさんないというわけですね。

 

しかし,侵食によって地形が変化するというのは地理において大切な考え方の一つなのは事実です。

すでに勉強した古期造山帯に属する山脈も,起伏が大きくなるのは内的営力によるものでしたが,その内的営力が止まると,あとは壮年期地形から老年期地形の図へと変化していくように侵食を受け,「低くなだらか」な山脈になっていくのでしたね。

 

さて,準平原は地形のでき方に由来する名称でした。

でき方を理解すれば,侵食平野という地形に分類されるというのも,納得できますね。

 

次は構造平野です。

まずは

「タスケテケスタ!」

何かって?

 

特に意味はありません笑

高校2年生の記述模試でプレートテクトニクスと同様に頻出の用語であるケスタですが,助けてケスタ!にすると上から読んでも下から読んでも「タスケテケスタ」なんです。

授業の最中にある男子生徒が「タスケテケスタだ!」と偉大な発明をしたかのように突然叫ぶので,びっくりしましたが,この怪文に気づく生徒もなかなかのセンスだと思いませんか。

というわけで,

  ケスタとは「硬軟互層の地層が選択侵食を受けて形成された左右非対称の丘陵地」

という説明が辞書などでよくされています。

 

…で?…ん?…だから?

って感じですね。

大切なのは以下のモデル図でその特徴を視覚的に理解することです。

ケスタ

ケスタ

 

先ほどの説明が図とともに見ると理解できましたか?

硬層は侵食に強く,軟層は侵食されやすい地層を意味します。

互層構造になっていた地層が地殻変動によって緩やかに傾斜すると,軟層から先に削れていくので(=選択侵食),図のようになり,片方は急崖,もう一方は緩斜面からなる左右非対称の丘陵が続く地形となります。

最も有名なのはフランスのパリ盆地で,緩斜面はブドウ畑に利用されます。

一方急崖には横穴を掘り,地中の温度は年間を通して安定していることから,ワインを熟成させるワインセラーとして利用されていることもあるようです。

パリ盆地も直径が数十kmと巨大なため,もし自分がケスタの上に立っていたとしたら,地面が大きくうねっているように見える程度で,火サスの船越英一郎がラストシーンで犯人を追い詰めた場面で登場するような断崖絶壁の崖ではありませんのでご注意を。

このほかにロンドン盆地五大湖周辺でも見られ,有名なナイアガラの滝はこのケスタの急崖を水が流れ落ちる部分です。

 

残りはおまけ的にメサとビュートです。

正直,センターレベルではそこまで頻出とはいえず,優先順位は低いと思ってください。断然先に覚えるなら助けてケスタです。

 

メサとビュート

メサとビュート

 

硬層・互層の構造はケスタと似ています。

地層は傾斜せず,硬層で侵食が止まり,周囲は侵食がすすんだためにテーブル状に残っているのがメサ,もっと細くなってしまってかろうじて残っているのがビュートです。

アメリカの乾燥地帯によく見られ,一番有名なのは今あなたが開いているパソコンの中にプリインストールされている壁紙です。

高画質でとってもきれいな写真が入っているはずです。

地理を学ぶ者として,もしよろしければ壁紙にでも,スクリーンセーバーにでも設定してあげてください。

 

というように,構造平野とはケスタ,メサ,ビュートを含みますが,地層が傾斜していなくても,周囲が削られて塔やテーブル状に残ってなくても構造平野です。

「古生代以降に堆積した地質構造がほぼ水平もしくは緩傾斜している平野」という辞書的な説明を今見れば,納得してもらえるはずです。

 

構造平野

構造平野

 

今日のまとめです。

侵食平野…古くて大規模(堆積平野に比べて)

  準平原の中に残丘(モナドノック)

具体例はウルル(エアーズロック)

  構造平野の中にケスタ

具体例はパリ盆地,五大湖周辺,ロンドン盆地

メサ(大)とビュート(小)はおまけで

 

次の授業ではは近年注目が集まっている火山地形について学習します。

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