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センター試験 地理B 2017 解説 第1問

   

センター試験 地理B 2017 解説 第1問

問1 ③

定番の地形断面ではなく,海底地形の断面について問う問題です。

線Bに該当する断面図を問われていますが,日本周辺には4枚のプレートが複雑に重なり合い,狭まる境界が多く存在するため,はっきりと海溝フィリピン海プレートに太平洋プレートが狭まって形成されている伊豆・小笠原海溝)がみられる③が正解です。

インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに向かって狭まっているという知識を誤用して③をC地点と考えてしまった人もいるかもしれません。

B以外の地点についても確認してみましょう。

まず最初に考えるのはA地点。

ここに大西洋中央海嶺が通っていることは受験生なら基本中の基本です。

よってしっかりと海嶺が読み取れる④。

残った①と②ですが,①は非常に浅い海が続いていることから大陸棚を意味していると考えます。

すると,こんなに浅い海がD地点で長い距離にわたって続いているとは感覚的にも考えにくいはずです。

答えは①がC地点,②がD地点です。

スマトラ島やジャワ島の南部にスンダ海溝(ジャワ海溝)があることは押さえておきたい基本的知識ですが,C地点は特に海溝はなかったはず,と考えながら,4つとも選択肢をあてはめられるとよいと思います。

問2 ⑤ やや難

海氷に覆われにくい地域を問う問題ですが,要は暖流が流れているところと寒流が流れているところを聞いている海流についての問題です。

まず最初にK地点は北大西洋海流の影響で海氷はない,ということには気づけるはずです。そのため,選択肢にKは含まれるはずなので,答えは①か④か⑤に絞られます。

そもそも「海氷」という言葉に馴染みのない受験生も多かったかもしれませんが,感覚的に「流氷」のようなものだろうという捉えはできたはずです。

北海道の北にあるオホーツク海では毎年冬になるとロシアからの流氷が観測される,といったニュースをテレビで見たことがある人もいるかもしれません。

この流氷はロシアのアムール川から流れ出た水が,周りの海よりも塩分濃度が低いために凍って海氷となり,日本へ流れてきます

よってL地点は答えの組み合わせには含まれない,残った選択肢は①か⑤と気づけるかが第1ポイントでしたが,これもやや難易度の高いハードルかもしれません。

残るJは東グリーンランド海流で寒流,Mはアラスカ海流で暖流です。

正直,これを知識として知っておくのは少し細かいと感じます。

chiriならグリーンランドは沿岸はETだから寒そう,アラスカの太平洋岸はCfcが広がっており,やや温暖だから海氷にはおおわれてなさそう,と気候区分から推測するかなと考えます。

問3 ④

アメリカ東海岸の気温や降水量に該当するものを選ばせる問題です。雨温図やハイサーグラフではない形のグラフで出題されている部分がやや難易度を引き上げていると思います。

気候の問題はなんでもそうですが,それぞれの地点の都市名がわかる必要はありません。地図帳によく載っているケッペンの気候区分の色分けを画像として頭の中にどれだけ描けるかが大切です。

そうすると,アはギリシャ付近なので当然ながら地中海性気候(Cs),イはカスピ海周辺なので乾燥帯(BS~BW),ウはロサンゼルス周辺なので地中海性気候(Cs),エはアメリカ東海岸なので温暖湿潤気候(Cfa)であると,4地点ともわかってほしいところです。

そして図の3を見ると,乾季がない気候はエのCfaだけなので,即,答えはSと決まります。

ちなみに,明らかに年間を通じて降水量が少ないRが乾燥帯に属するイとなることもわかりやすいでしょう。

今回,問題では問われていませんが,残ったアとウはどちらも地中海性気候であり,やや見極めが難しいですが,問題を解いた皆さんはどちらの地点が当てはまるか考えましたか。

この決め手は問2に引き続き,海流です。同じ地中海性気候でも沿岸に寒流のカリフォルニア海流が流れているウは,夏の気温が低くなっており,Pが該当します。まぁ,感覚的にも地中海沿岸の夏は最暖月が18℃か27℃かと言われれば,日差しギラギラの暑い夏をイメージするでしょう。chiriもカリフォルニアへ仕事で行ったことがありますが,サンタモニカなど有名で広大なビーチがあるものの,海水は比較的冷たかったのを覚えています。

問4 ③

アドリア海のヴェネツィア周辺の地図が示されていますが,要するに海岸付近の小地形に関する問題です。

河川によって運ばれてきた土砂が河口に堆積し,河口付近に一定方向に向かって流れる沿岸流によって砂が陸地化した①の砂州,その砂州によって外海と切り離された②の潟湖(ラグーン)はいずれも正しい説明です。④の干潟も,まぁ,普通に読めば正しいかなと感じるでしょう。今回明らかに異なるのが③の陸繋島です。地図から見ても明らかにこれは鳥趾状三角州ですね。アメリカのミシシッピ川で教科書にもしょっちゅう具体例として出てくるやつです。今回の地図は比較的鳥趾状の様子が分かりやすいため,問題の難易度は優しいと思います。砂州,潟湖,陸繋島,干潟のそれぞれの語句の意味がきちんと分かっていれば,楽勝の問題でした。

問5 ②

世界の自然災害被害の発生件数,被害額,被災者数を大陸ごとに選ぶ問題です。まず初めに被災者数が89%と圧倒的に多いXが総人口が最も多いアジアとわかります。次に被害額をみると,残ったYが35%なのに対し,Zは1%しかありません。こうなると相対的に物価の低いアフリカがZ,残ったYが南北アメリカとなります。見慣れない問題ではありますが,難易度はそれほど高くない問題です。

問6 ④

火山防災マップの読み取りについて選択肢から誤答を選ぶ問題です。図6と選択肢を照らし合わせながら落ち着いて確認すると,②と③の選択肢はいずれも正しいことがわかるはずです。残った➀は「火山噴火が生じた場合,火山灰が降って農作物に被害が出る可能性がある」とありますが,図6中に「年間に最も多い風向」の矢印があり(基本的には偏西風でしょう),サ地点には火山灰は降らないから,➀が正しくない!と➀を選びたくなってしまうようなひっかけ問題です。これはあくまで「年間に最も多い風向」とあるだけで,火山噴火が起こった瞬間に必ずその風向に風が吹いているという意味ではありません。よって「火山噴火が生じた場合,火山灰が降って農作物に被害が出る可能性がある」とあるように,強い風が吹いていない状態で火山噴火が起これば,河口に近いサ地点でも火山灰が降り積もる可能性があり,➀の選択肢も正しいわけです。残った④を落ち着いて読んでみると,「土石流の影響によって損壊する可能性が低い」という部分が正しくありません。火山灰に関する問題が出てくると,偏西風との関係などについての選択肢が出題されることが模試でも多いために,問題を慌てて読んだ受験生は正答率が下がってしまった問題だと思います。

 - センター試験2017(平成29年)