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センター試験 地理B 2016 解説 第1問

      2016/02/02

センター試験 地理B 2016 解説 第1問

問1 ①

地震の発生頻度と震源の深さから,プレート境界の有無や火山性地震について問う問題です。

④から考えます。
オーストラリア東部には古期造山帯のグレートディヴァイディング山脈があるため,地震は起こりません。
よってBが④。

次は③について。
Cはハワイ諸島であり,ハワイはホットスポット(プレートの境界ではなく,プレートの真ん中でピンポイントにマグマが噴き出す)であることは押さえておきたい知識。

火山活動に伴う地震が発生していることが分かればCが選べます。
仮にホットスポットの火山性地震について知らなくても,図1中のCの四角の右下にハワイ島が見えるので,この島の位置と震源分布が重なる③が答えになるという推測も可能です。

残った①と②は震源の分布が似ており,判別に迷った受験生も多かったかもしれません。

  ポイントは震源の深さの違い。

Aはプレートの狭まる境界ユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレート)なのに対し,Dはずれる境界サンアンドレアス断層があります。
そのため,A地点ではインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下にもぐろうとするため,震源が深いところが多くなるのです。

これは日本周辺の地震の起き方とメカニズムは同様です。

地理の授業:大地形ープレートテクトニクス理論

ちなみに,chiriが以前,仕事でアメリカのロサンゼルスを2週間程度訪れた際に,2度も地震に遭遇しました。
地理屋としてサンアンドレアス断層による地震を実際に体感できたことはとてつもなくテンション上がりました。
御存じのとおり,「震度」という概念は日本独自の基準であり,アメリカでは異なる指標が用いられています。
chiriが遭遇した地震がどれほどの震度だったのかについては,もはや確認できませんが,体感では震度2~3程度であったように思われます。

 

問2 ③

①は普通に読んでも正しい選択肢だとわかるはずです。具体例は富士山桜島など。

②は地震・火山・温泉・地熱発電というキーワードをセットで思い出したいところ。
そのため,日本の地熱発電所は火山分布と同様に,東北地方と九州地方に集中しています。
もっとも有名なのは大分県にある八丁原(はっちょうばる)発電所で,日本最大の発電量を誇っています。

③と④はやや判別に迷ったかもしれません。
直観的なイメージでは火山灰が農作物に積もると,光合成を阻害したり,変色したりして商品価値が失われ,農業に大きなダメージを与えるというニュースなどは見たことがあるでしょう。
有機物が含まれるのか,文系生徒はそんなの知るか,という感じですよね。
ポイントは噴火「直後」という言葉。

有機物が含まれるかどうかを知らなくても,直後が穀物生産に適しているかと言われれば答えはNOなはず。

ちなみに,有機物とは基本的に生物が作るもので炭素原子を含む物質のようです。
理科で習ったと思いますが,炭素記号はC。
火山は生物ではないし,上に記したように火山灰が植物を枯らせるので,その植物が腐食し,長い年月をかけると栄養分のある土に変わります。
黒ボク土と呼ばれ,この土の分布も火山分布と同様に,九州,関東,東北,北海道などに広く広がっています。

④についてはミネラルウォーターの銘柄を思い出せば,正しい選択肢だとわかったかもしれません。
「富士山のバナジウム天然水」,「日田天領水」,「天然水奥大山」などなど。
また,熊本市の「蛇口をひねればミネラルウォーター」というフレーズを聞いたことがありますか?
人口74万人を抱える政令指定都市の熊本市は水道水をすべて地下水で賄っていることで有名です。
過去に阿蘇山が起こした噴火による火砕流が現在の熊本市内に厚く降り積もり,隙間に富んだ保水性の高い土壌を生み出しました。
外国産のミネラルウォーターの中には熊本市の水道水の10分の1程度しかミネラルを含んでいないものもあるそうです。

 

問3 ②

アフリカ大陸における植生の高さを示した図で,見慣れない受験生はびっくりしたかもしれません。
しかし,見た目が降水量のグラフに似ていることからも,

  植生の高さ=気温の高さと降水量の多さ

と読みかえます。
アフリカ大陸ケッペンの気候区分による色分けを思い出すことができるかが鍵でしょう。

①は植生がまったく見られないことからサハラ砂漠に位置するものと考え答えはE。
Hと迷った生徒もいたかもしれないけれど,Hの◯(白丸)部分はナイル川の上流に位置することを思い出せれば,ここで雨が降らないと外来河川としてのナイル川は成り立たないことからも,Hには植生がみられるはずだとわかるでしょう。

その逆に,最も植生が高い④が赤道直下にあたるFだと判断します。
基本的に生物の成長は気温が高く,降水量が多いほど早い
中学生のころ,日の当たる場所と冷暗所においた植物の成長の実験・観察をしたことがあるだろう。
そのため,

  同じf(湿潤)でも温帯Cより熱帯Aのほうが気温が高いために降水量も多く,植生は高くなる。

各社の資料集・図版にも熱帯雨林には高さ70mを超えるような突出木があり,薄い表土の上でその高さを支えるため板根とよばれる幹が発達している様子の写真がよく掲載されていますね。
残った②と③はやや判別が難しいですが②の右側(●部分)がポイントです。
①の判断と同様に,植生がない=無樹林気候=砂漠であるため,HとGの右側がどちらが砂漠化を考えたとき,Hの右側の対岸はアラビア半島であり,アラビア半島は全土が乾燥帯(B気候)であることから②がHに該当するのではと推察することも可能です。
ちなみにHの●部分は旧フランス領のジブチという国があります。
過去に,ジブチがBW(砂漠気候)であることを知っていれば解答が容易であった模試の問題を見かけたことがあります。
知識としてはやや細かいですが,知っておけば,さらに確実に正解にたどり着けたかもしれません。

問4 ⑤

湖の成因について衛星画像と地図上の位置の組み合わせを答える問題。
最もわかりやすいのはきれいな円形に近い,Kのカルデラ湖ではないだろうか。
湖の成因はカルデラ湖断層湖潟湖ラグーン)などが特に衛星画像や地形図で出題されやすいため,日本国内の主要な湖の形や成因は把握しておきたいところ。
主なものとして,
カルデラ湖・・・洞爺湖,支笏湖,屈斜路湖,摩周湖,阿寒湖(北海道),十和田湖(青森県),田沢湖(秋田県),蔵王の御釜(宮城県),箱根の芦ノ湖(静岡県)
断層湖・・・琵琶湖(滋賀県),バイカル湖(ロシア),タンガニーカ湖(コンゴ民主・タンザニア),マラウイ湖(マラウイ)など
潟湖(ラグーン)・・・サロマ湖,能取湖(北海道),八郎潟(秋田県),中海(島根県)など
などが挙げられます。
これらの湖の形と場所についてはセンター試験本番までに地図帳で一通り確認しておきたいものです。

次にJとLの見極めです。
ウの文の氷食作用というキーワードから,氷河が存在or過去に存在した地域であることが考えられます。
まっとうに考えれば,スイスのアルプス山脈付近を示しているJがウの説明文に該当するはずですが,今回の写真はLのほうが衛星画像で見ると起伏が大きく,高い山々が連なっているかのような印象を受け,紛らわしいです。
しかもJの記号の位置がでかいし,やや北によっているような印象も受けて,わかりにくいです。
この点は作問側にも問題があると思います。

大手予備校の解説には湖岸線が氷河湖のほうが単調であるという知識はやや細かいでしょう。
それよりも,Lのあるニュージーランドの北島にはかつて氷河があったのか,を考えられるかがポイントになりそうです。
先に結論から言うと,ニュージーランドには氷河期に南島のサザンアルプス山脈の上には山岳氷河が存在したようです(今もタスマン氷河が存在します)。
与えられた図1を見ても地図に30度間隔で経緯線が入っていることから,JよりもLが低緯度にあることが分かります。
ニュージーランドにはサザンアルプス山脈しかないことを知っていれば,氷河湖がみられるのはJであり,Jはアルプス山中であると断定できます。

また,イの文中に「地すべり」や「山くずれ」というキーワードがあり,Lの写真には尾根と谷の陰影がはっきりと映っています。
起伏に富んだ地形ほど,高低差が大きいことから,こうした現象が起きやすいと考えることができれば,この部分にも答えにたどり着くヒントが隠されているといえます。

問5 ①

YとZの降水量の判別はそれほど難しくありません。
それぞれ降水量200mm以上となっている地域が主にAw(サバナ)気候であることから,色がついている部分は雨季にあたると考えます。
南半球は季節が逆であることを落ち着いて考えていけば,北半球が雨季をむかえているのが7月,南半球が雨季になっているのが1月とわかります。

一方,風向についてはやや判別が難しいです。
やはりポイントはそれぞれに赤道を引き,貿易風の吹く位置の変化を読み取ります。
アマゾン川の河口付近で北東貿易風がやや弱く,南東貿易風が卓越しているWが7月です。

  赤道低圧帯は季節によって移動します。

北半球が最も温められる7月に北上し,1月には南下するため,隣接する亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)から吹き込む貿易風の位置も変わります。
同様の問題は模試などでも類題がみられます。

問6 ①

水資源賦存量という聞きなれない言葉が出てくるこの問題でキーポイントになるのが「外来河川」の概念を思いつくかどうかです。
選択肢の①と③の国外水資源賦存量の割合が90%を超えているため,外来河川であるナイル川を持つエジプトが①か③に該当すると考えます。
それでは,エジプトと同様に国外水資源賦存量が高いもう一つの国はどこでしょうか。
各国を流れている主要な河川とその流れ始めが国外にあるかどうかを考えましょう。

チリ→川なんて聞いたことない。
中国→黄河や長江→チベットのほうから流れてるのでは?
バングラデシュ→三角州(デルタ)があるのはガンジス川の河口!ということはインドから流れてきてる!

つまり①か③がエジプトかバングラデシュです。
もう一つは①のほうが1人当たり水資源賦存量が小さい=国民1人一人が使える水の量が少ないのは砂漠の国であるエジプトです。
残った③がAw(サバナ)気候が広く広がり,水はたくさんあるのがバングラデシュです。

残った②と④は,1人当たり水資源賦存量が小さい②が13億人の総人口を抱える中国です。

  「1人当たり○○」が出てくれば○○(分子)を総人口(分母)で割るわけなので,必ず中国やインドは小さくなります。

④のチリは総人口も小さく(約1800万人),アンデス山脈が自然的国境であるため,分水嶺が国境線になっているところも多く,隣接国から流入する河川は非常に少ないのです。

 - センター試験過去問解説, センター試験2016(平成28年)